2014年5月27日

【刑法】判例刑法総論1〜5

第1
1.最大判昭和27年12月24日 
テーマ    旧憲法下における,勅令による罰則の有効性
➡︎新憲法制定の際に,法律72号に基づいて,「法律を以って規定すべき事項を(命令・勅令で)規定するものは,昭和22年12月31日まで,法律と同一の効力を有する」とされた。
=同年12月31日までに,(罪刑法定主義の要請のかかる罰則規定については,憲法73条6号にしたがって,)然るべき法律あるいは法律により委任を受けた政令を作らないと,失効しちゃうよ!!
➡︎実行行為時および第一審判決当時は,まだ勅令による罰則が生きていたけど,原判決当時には,すでに法律72号によって当該罰則は失効しちゃってる
➡︎なのに,原判決はそれを看過して有罪判決を下した
➡︎原審においては本来,免訴判決すべきだったのに,しなかったから原判決破棄

2.最大判昭和49年11月6日(猿払事件)
テーマ(ここでは)  包括的委任
➡︎国家公務員法は,国家公務員の政治的行為についての罰則を,人事院規則に委任している
➡︎当該規定(102条1項)は,具体的委任であって,なんら罪刑法定主義に反するところはない(白紙委任であった場合なら,刑罰を法律で以って定めるべきとする同主義に反するけど)

3.最大判昭和37年月30日
テーマ  条例への罰則の委任
➡︎地方自治法は,各地方自治体により制定された条例に,一定の限度において罰則を設けることを許容している
➡︎罪刑法定主義に反しないの?
➡︎対象となる範囲および罰則の内容ともに,法律上限定されている
➕条例制定権者たる地方議会は,選挙によって選ばれる地方の代表であり,法律制定権者たる国会と類似しており,民主的プロセスが働いている以上,条例において罰則規定を設けることも許容されないということはできない

4.最大判昭和50年9月10日(徳島市公安条例事件)
テーマ(ここでは)  法律と条例の関係
➡︎道路交通法が定める罰則規定の範囲と,徳島市の公安条例が定める罰則規定の範囲がかぶってるから,法律によって罰せられるべきなんじゃないの?
➡︎地方の実情は,地方が一番わかってるんだから,大枠は法律で決めるけど,具体的な内容については,補完的に条例で定めていいよ
➡︎本件の場合には,道路交通法と徳島市公安条例は重複して規制をかけてるけど,地方のことだから,地方の規定によって罰せられることでいいでしょ

5.最大判昭和60年10月23日
テーマ(ここでは)  法律と条例の関係2
➡︎強制わいせつ罪(刑176)=13歳未満にわいせつ行為…処罰,
強姦罪(178条)=13歳未満に姦淫(無限定)…処罰
児童福祉法(34条1項6号)=児童(18歳未満)に淫行…処罰
福岡県青少年保護育成条例=青少年(18歳未満)と性交…処罰
➡︎横だし条例じゃね?
➡︎別に横だし条例でも構わないでしょ

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