2014年7月19日

【最新判例解説】親子確認不存在確認請求訴訟その1~裁判法的側面①~

1.事件情報および簡単な解説

平成24年(受)第1402号 親子関係不存在確認請求事件
平成26年7月17日 第一小法廷判決

⇒この文字列は,いわゆる「事件名」と呼ばれるもので,
その裁判書において,

①『どんな内容の事件』が,
②『どのような手続きを経て』,
③『いつ.,どの裁判所で』,
④『どのような裁判をしたのか』
が記載されている,裁判書の書面の冒頭に便宜的に付されているものです。
以下,それぞれについてみてみましょう。

※説明の便宜上,順不同となっています。

 

①『どんな内容の事件』について

 ①に書いてある内容を法学的に説明すると,
「当該訴訟における訴訟物の端的な表示」
ということになるのですが,よりわかりやすくいうならば,
「その事件において,当事者のどのような権利が争いの対象となっているのか」
といった感じになると思います。

 これを本件にあてはめて説明すると,
「法律上の親子関係があるように見える者の間において,本当に法律上の親子関係があるのか」
といった事が,争いの対象となっていることが,この字面からだけでも読み取れるかと思います。

 法律家は,この記載を見て,「この事件は,こういうことを争っているんだ」っていうだいだいのあたりをつけることができるので,とっても重要です。
 新聞で言うところの見出しにあたるものといえるでしょう。


②『どのような手続きを経て』について

 ②は,その判断が示された裁判所に対して,どのような経緯で主張がされたか,といった事が書いてあります。
 
 ご存知かと思いますが,日本は,原則として三審制を採用していて,

第一審裁判所⇒”控訴”⇒第二審裁判所⇒”上告”⇒終審裁判所

といった流れで,裁判が行われていきます。

第一審裁判所(一番最初に判断を示す裁判所)における判断に不服がなければ,その時点で,その裁判所がした裁判の内容が確定するのですが,その裁判に不服があるような場合には,第二審裁判所(第一審裁判所のした判断の当否を判断する裁判所)に審理・判断してもらうことができます。
 さらに.この第二審裁判所の判断に不服がある場合には,さらに終審裁判所(第一審・第二審裁判所での判断に憲法違反や,法律に定められた手続きに反する手続きが行われた場合,法律などの解釈やそれの適用に誤りがあることなど,限られた場合にのみ,その判断の当否を判断する裁判所)に審理・判断してもらえます。

 また,日本では,大きく分けると
・国家の刑罰権を行使させることが適切かどうかを判断する「刑事裁判」
・国民間や国家と国民の間に発生した紛争の解決を図る「民事裁判」
・国家がする強制的な行為が適切であったかを判断する「行政事件裁判」
という三つの機能別役割があるといわれています。

このようなことを前提として,どのような裁判がどのような手続きで行われたのかについて,
端的に示しているのが,②です。

 本件では,”平成24年(受)第1402号”となっているので,
「平成24年,最高裁判所に1402番目に書類が提出された,”上告受理申立て”事件」であるということが読み取れます。

 この文章で一番重要なのは,カッコ内の文字です。
 実は,僕自身も,カッコ内の文字全部がどのような意味を持っているのかについては,把握し切れてはいないのですが,最高裁のHP(http://www.courts.go.jp/picture/hanrei_help.html)に,なんとも便利な一覧表が掲載されているので,いつも参照しています。
 カッコ内の文字の意味が気になる方がいらっしゃったら,ぜひ参照してみてください(いないとは思いますが…)。

 
(続く?)


 

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